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    長久寺のまるみがや

    巨木の写真

    長久寺のまるみがや(2017.06.10) 【01】広大な枝張りは約400平方mに及ぶ.県内最大級の大カヤ.東側. 長久寺のまるみがや01
    【02】東側 長久寺のまるみがや02
    【03】東側 長久寺のまるみがや03
    【04】東側 長久寺のまるみがや04
    【05】北側 長久寺のまるみがや05
    【06】北側 長久寺のまるみがや06
    【07】北側 長久寺のまるみがや07
    【08】北側 長久寺のまるみがや08
    【09】西側 長久寺のまるみがや09
    【10】西側 長久寺のまるみがや10
    【11】西側 長久寺のまるみがや11
    【12】西側・参道 長久寺のまるみがや12
    【13】カヤの実 長久寺のまるみがや13
    長久寺と周辺(2017.06.10) 【01】南側からの遠望.整った笠状の樹冠が水田に映っていた. 長久寺のまるみがや01
    【02】西側入口 長久寺のまるみがや02
    【03】正面入口 長久寺のまるみがや03
    【04】本堂 長久寺のまるみがや04
    【05】宮沢遺跡 長久寺のまるみがや05

    巨木の詳細

    巨木の名前 長久寺のまるみがや[1]
    樹種 カヤ(榧)
    幹周 5.87m[1] 7.0m[2]
    樹高 16m[1・2]
    推定樹齢 650年[1]
    特徴 広大で整った笠のような樹冠
    保護指定 宮城県指定天然記念物
    所在地 宮城県大崎市古川宮沢裏馬田町
    所在施設 長久寺
    撮影日・状態 2017.06.10 : 樹勢は良好な様子.400平方m近い樹冠を誇り、長大な下枝が多い.
    アクセス
    ■古川IC(東北自動車道)
      距離:約5.3km
      経由:国道47-市道-県道59(途中で桜ノ目橋)-市道
    電車 ■古川駅(陸羽東線、東北・秋田・北海道新幹線)
      距離:約8km
      経由:タクシーか市営バス・宮沢真山線を利用
    バス ■城内(宮沢真山線)
      距離:城内バス停から約230m
      経由:古川駅前から宮沢真山線に乗車、約20分で城内
      (本数は1日で古川駅からの上下各4本)
    参考情報 ■現地資料
    [1]現地解説板・カヤ   :カヤについて幹周・樹高・枝張り・樹齢・由緒など掲示
    ■Web
    [2]巨樹巨木林データベース:2000年の調査記録(教育委員会社会教育課)
    [3]大崎市(公式)    :大崎市の公営サイト、観光情報あり
    [4]宮沢遺跡(地図)   :宮沢遺跡の南西に位置する愛宕山地区、東北道に東西を分断されている
    [5]宮城県(公式)    :宮城県の公営サイト、文化財の一覧に宮沢遺跡の詳細な解説あり
    近辺の巨木 樹林寺のカヤ         :長久寺からの移動は約13km、株立ちの巨木に似た姿
    祇劫寺のコウヤマキ&マルミガヤ:長久寺からの移動は約18km、高野槇の他に2本の榧がある

    巨木と雑記1.長久寺と周辺地域

     宮城で最初の巨木巡りは、県北の地域である栗原市と大崎市から開始。 栗原市の栗駒山には日本一のクロベ 「小桧沢の千年クロベ」 があり、大崎市には「長久寺のまるみガヤ」をはじめ、見事なカヤの巨木が豊富にあります( 矢木のカヤ樹林寺のカヤ祇劫寺のマルミガヤ)。

     長久寺があるのは、大崎市の市街中心部である古川駅の周辺から、約5kmほど北に離れた場所。 古川宮沢の中心にある集落です。 長久寺は室町時代、日幡上人により開山。カヤは上人のお手植えとの伝承。 その年代は、奥州探題である大崎氏三代・詮持の頃とされます(14世紀後半)。 境内には鬼子母神が祀られている事から、カヤは「鬼子母神のまるみがや」とも呼ばれるそうです。[1]

     長久寺の境内から北東に見える、大きな古墳のように見えるもの。 これは宮沢遺跡の一部です。 8世紀~10世紀頃の城柵跡で、東西約1400m、南北850mの大規模なもの。 長久寺から見えるのは遺跡の一部、南西隅にある愛宕山地区。 その中央は、発掘調査後に造成された東北道に分断。 遺跡には、複数の建造物跡や、築地や土塁の跡が発見されたそうです。[5]
     宮沢遺跡には長久寺のある西側からも立入れます(バス停・庚壇の小道から先)。 雨が降り出さなければ、私はこの見晴らしの良い遺跡に立ち寄っていたところでした…。

    巨木と雑記2.長久寺の大カヤ

     長久寺の大カヤ(まるみがや)は、宮城の巨木の中でも特に訪れたてみたかった1本。 その姿は予想以上に素晴らしいものでした。 はじめに驚かされるのが広大な樹冠。 枝張りの範囲は、東西約17.4m、南北約23.6m[1]。 総面積は約400平方mにも及び、全体の輪郭は直径の大きな円錐形に整っています。 その大きく美しい緑の笠は、遠くからでもよく目立っていました。

     大きな笠を形成しているのは多数の長大な下枝。 幹の四方、地上2~3m付近から放射状に発生し、地面と水平方向へ伸び広がっています。 これら下枝の大きさと密な繁茂のため、幹の上層の姿は隠れています。 下枝が特に繁茂しているのは北東と南西の側。 少し下枝の少ない北側からは、太い幹と長大な枝の広がりの様子を眺めることができます。

     大きく端整な樹冠を作る見事な枝張り、太く貫禄ある単幹の主幹、良好な樹勢。 この実に優れた立姿は、古くから丹精込めて手入れされてきた賜物でもあるのでしょう。 大切にされていることは、現在の管理体制からも伝わってきます。 巨木のとしての迫力も十分ですが、日本庭園の中に立つ主役のように、格調高い雰囲気も感じさせる大カヤでした。

    巨木と雑記3.万正寺の大カヤとの比較

     長久寺を訪れた約3ヶ月後、福島県の桑折町に訪れました。目当ては 「万正寺の大カヤ」 です。7m以上の幹周と、約400平方mに及ぶ枝張り。 全体の大きさは長久寺と同等ですが、同じ榧の樹種とは思えないくらいに「個性」が異なる大カヤでした。 詳しくは見比べてみてください。

     宮城と福島のカヤの両雄らしき、長久寺と万正寺の良さを私の偏見で比較。 整った姿の良さ、貫禄、単幹である主幹の量感、などは長久寺が勝っているでしょう。ついでにアクセスも。 でも万正寺も魅力的です。 見飽きない姿の面白さ、複雑かつ自由奔放な樹形、明るく不気味な雰囲気、などが癖になります。 人里の巨木は、接してきた人々の「念」によっても、姿は変わるものなのでしょう。