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西平の大カヤ
巨木の写真
巨木の基本情報
巨木の名前 | 西平の大カヤ (仮) |
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樹種 | カヤ (榧) | |||
幹周 | 6.60m [1][2], 7.00m [3] | |||
樹高 | 16.0m [1][2][3] | |||
推定樹齢 | 1000年 [1][2] | |||
特徴 | 傾斜地、長い下枝、ずんぐりした形状の幹 | |||
保護指定 | 埼玉県指定天然記念物 | |||
所在地 | 埼玉県比企郡ときがわ町西平 | |||
所在施設 | 山林 (西平施業林組合の管理地) | |||
撮影日・状態 | 2023.01.03 : 空洞は根本から中腹に達す、欠損枝が多い、葉量が少ない、実は殆ど生らない様子 | |||
アクセス | ||||
車 | 関越自動車道・東松山ICから約17km | |||
電車 | 八高線・明覚駅から約7km、ときがわ町の町営バスを利用可能 | |||
バス | 明覚駅から町内路線「と01」か徒歩約2kmで「せせらぎバスセンター」へ 路線「と03、と04、と07」のどれかに乗り継いで「慈光寺入口」へ | |||
参考情報 | ■現地資料 [1] 石碑「天然記念物カヤ」:内容は下記雑記の石碑の写真を参照 ■外部ウェブサイト [2] ときがわ町ホームページ:当巨木の情報あり [3] 巨樹巨木林データベース:当巨木の登録あり (2000年度の調査記録) [4] 慈光寺ホームページ :七木伝説とカヤの情報を参考 ■少遠景の記録 [5] 萩日吉神社の児持杉 :ときがわ町、最寄りの巨木、萩日吉神社の御神木で県内最のスギ [6] 椚平の姥樫 :ときがわ町、県内最大となるアカガシかも [7] 関堀の大イチョウ :ときがわ町、県道沿いに立つのでアクセスが容易 [8] 上谷の大クス :越生町、関東最大のクスノキ (ときがわ町の隣町) [9] 旅日記・男鹿岩と女鹿岩:ときがわ町、慈光寺の七石のうち2つの巨岩 |
巨木と雑記.風格極まる老巨樹
ときがわ町は埼玉県の中央部に位置する緑豊かなところ。 中心街は東端の都幾川沿いにあり、 西部は秩父盆地との間にある外秩父山地が占めています。 この町はじつに素晴らしい巨木の里。 県内最大級となるスギ [5] 、アカガシ [6] 、イチョウ [7] などを有し、越生町と接したところには、 県内最大の巨木となる上谷の大クス [8] もあるのです。 そしてこの巨木群の中で、特に風格極まる存在が西平の大カヤといえるでしょう。 萩日吉神社 [5] から南東の山林に、ポツンと一本で佇んでいる大カヤ。 人里離れた薄暗い山中にて出会う、荒々しい姿の老巨樹。 初めて訪れたとき、その近寄り難い雰囲気に気圧されて、立ち竦んでしまったものです。 相当な古木らしい佇まい。 カヤとしては感嘆たる太さの幹には、深い縦皴が幾重にも刻まれている。 空洞を抱え、何本もの大枝を失って樹勢は衰退気味。 それでもなお気炎万丈。強く厳かな気を放っています。 老いを重ねる毎に神々しさを増していく、巨樹という生命。 老いた今が一番、強く気高く美しい、そう感じさせるカヤ老樹。 私が特に篤い思い入れを持っている巨木です (理由は後述)。
巨木と雑記.巨木巡りはじまりの一本
今や私のライフワークとなっている巨木巡り。 それを始めるきっかけとなったのが、この大カヤです。 以前から社寺で見かける御神木など、 まるで土地神が顕現したような存在、巨木に関心を持っていました。 だからきっと楽しい、巨木を目当てとした旅を試してみることにしたのです。 そうして最初の地として選んだのが、ときがわ町であり、 次に越生町の上谷の大クス [8] にも訪れました。 最初の巨木巡りは大成功。 予想以上の喜びと感動を得ることができました。 このとき、特に心を揺さぶられた巨木は予想外。 県内最大とされる上谷の大クスではなく、西平の大カヤだったのです。
はじめて出会った西平の大カヤの印象。 木に対して恐怖という感情を抱いたことが新鮮でした。 あれはただの樹木ではない、鬼でも宿っているのではないか。 近寄らば、あの長い下枝が動いて捕まりそう。 小心者ゆえそんな想像が浮かびました。 そうして恐る恐る樹下に寄ると印象が変わった。 ビシビシと凄味は増すものの、予想外に優しく包み込むような、懐の深さを感じられたのです。 最近では通うたびに、大カヤの表情が穏やかになってきたように見える。 立ち去るときは、長い下枝が微かに揺れて、別れを告げているような寂しさを感じる。 大カヤへの年参は行事となり、尊敬する父祖へ会いに行く心持となっています。
巨木と雑記.大カヤは慈光七木
大カヤの根本に置かれた石碑 [1]。 その碑文には興味深い一文が刻まれています。 それは「都幾山慈光寺の七木の一つに数えられ現存する唯一本」というもの。 慈光寺 [4] は当地から北、都幾山 (標高463m) の山腹に開かれた天台宗の古刹 (地図リンク) 。阪東33観音霊場の第9番札所です。 寺伝によると、奈良時代の以前からある霊場であり、 宝亀元年 (770) に鑑真和上の高弟である道忠による開山と伝わる。 平安時代には清和天皇の勅願により、東国における天台宗の中心的な寺院となったそうです。 江戸時代には徳川家光から帰依を受け、 当地域の信仰や文化の中核を担ってきた大寺院。 慈光七木とは。 第96世の信海和尚が残した慈光寺実録によると、 寺領に七井・七石・七木と呼ばれる名物があったらしい。 ちなみに七石のうち、男鹿岩と女鹿岩の2つは訪れたことがあります。 興味のある人は旅日記の記録 [9] をご覧あれ。 さて七木は、立ち返り柳、椎樫、五葉の松、大栢、八重の桜、一本樅、天狗杉から成るもの。 この中で大栢が大カヤと推定されるそう。 しかし、他七木の所在は不明という。 もしかしたら、天狗杉が萩日吉神社の児持杉 [5]、 椎樫が姥樫 [6]、 なんてことがありそう。 ときがわ町は昔から巨木の里として知られていて、 この大カヤは霊木として敬われてきたのでしょう。
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