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薄根の大クワ
巨木の写真
最新の写真 (2024.04.26) は後述の雑記にて
巨木の基本情報
巨木の名前 | 薄根の大クワ [1][2][3][4] |
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樹種 | ヤマグワ (山桑) | |||
幹周 | 5.67m [1][2], 5.80m [3], 7.24m [5] | |||
樹高 | 13.65m [1][2], 10.5m [3], 10.0m [5] | |||
推定樹齢 | 1500年 [1][2][3][4] | |||
特徴 | 地上2m付近から5本に分岐し広がる | |||
保護指定 | 国指定天然記念物 | |||
所在地 | 群馬県沼田市石墨町薄根 | |||
所在施設 | 私有地 (石井家) | |||
撮影日・状態 | 2024.04.26:樹容に大きな変化、腐朽部分の拡大、複数枝先の欠損 2015.04.18:樹容に目立つ変化なし、樹勢は良さそう 2011.10.20:中央に空洞あり、初訪時 (2010.08) には葉の茂りを確認、樹勢は良さそう | |||
アクセス | ||||
車 | 関越道・沼田ICから約6km | |||
電車 | JR上越線・沼田駅から約5km | |||
参考情報 | ■現地解説板 [1] 薄根の大クワ :内容は下記雑記の写真01を参照 ■外部ウェブサイト [2] 沼田市ホームページ :当巨木の情報あり [3] 群馬県緑化推進委員会 :サイト内で県内の巨木も紹介している [4] ぐんま絹遺産 :群馬県内にある絹産業の文化財群を指定 [5] 巨樹巨木林データベース:当巨木の登録あり (2000年度の調査記録) ■少遠景の記録 [6] 荘田神社の大イチョウ :近辺の巨木、県内最大級のイチョウ [7] 龍興寺のゴヨウマツ :近辺の巨木、市内の天然記念物「書院のゴヨウマツ」と同規模か [8] 沼田城址の御殿桜 :市街中心部、根本には土塁石垣の遺構 [9] 沼田須賀神社の大ケヤキ:市街中心部にある鎮守、県内最大級のケヤキ |
巨木と雑記.日本一の大桑
沼田市街地から北に位置する薄根は、四釜川が流れる谷合の地域。 ここに根差す巨木こそ、風格極まる日本一の山桑、薄根の大クワ [1][2] です。当地の大農であった石井家が所有される、広い畑の中に根差している。 この大クワは、古くから村のシンボルツリーとされていました。 江戸時代の貞享3年 (1686)、前橋藩家老の高須隼人が、旧沼田藩内の検地を行ったとき。 石墨村を検地する際には、大クワを測量基準の標木にしたという。 当時から見事な巨木だったのでしょう。 江戸後期には当地でも養蚕が盛んとなり、周囲に一面の桑畑が広がっていた。 世界遺産に登録された富岡製糸場へも、大量の繭を卸していたそうです。 豊穣と富の象徴でもある、養蚕の神として讃えられてきた御神木。 ぐんま絹遺産 [4] の文化財にも指定されています。
2015年4月の訪問時、大クワの所有者である石井婦人から、貴重なお話を頂く機会がありました。
以下、その内容を抜粋します。
■ 戦前の幼少の頃は、周囲一帯が石井家が所有する田畑で、長屋に雇人たちを住まわせていた
■ 戦後の農地改革により、土地の多くを接収されたが、大クワの周囲に畑と水田が残っている
■ 養蚕のために大クワの葉(蚕のエサ)を使う事は無かった
■ 幼少の頃は、父が大クワの枝にブランコを付けてくれて、兄姉妹と一緒に遊んだ
■ 近年、見学者は平日でも数人は訪れ、ツアー団体が来ることも (年間3000人は来ていそう)
■ 大クワの周囲の草刈りは石井さん自身がされている
■ 一人で畑仕事をするのが辛くなったが、地域の人達が助けてくれる
■ この見事な大クワを、たくさんの人達に見てもらえるよう、守っていきたい
巨木と雑記.令和の大クワ
2024年4月下旬の再訪。 近況を調べておらず、樹勢の陰りを疑うことがなかったので、驚きました。 木道を進み、はじめに正対する黒々としたその姿。 腐朽部分が拡大し、広範囲に防腐剤が塗布されている。 南側と西側へ伸びる太枝の先は枯損。 大クワに何が起こったのか。 近年、害虫による被害が深刻化していたらしい。 2018年には足場を造って囲い、大掛かりな樹勢回復工事が行われました。 この大クワは、何度も訪れている思慕のあつい巨木。 深く傷ついた姿に胸が痛みます。 落ち着いてから、木道を一周して観察。 すると、これから芽吹いて樹冠をつくる、小枝の量が意外と多い。 養蚕の御神木は、まだまだ倒れません。 次回は樹冠が茂る夏期に訪れ、強い生命力を確信したいものです。
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