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野木神社のイチョウとケヤキ
巨木の写真
巨木の基本情報
巨木の名前 | 野木神社のイチョウとケヤキ (仮) |
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幹周 | イチョウ:9.67m [5] ケヤキ :6.17m [5], 7.63m (実測) | |||
樹高 | イチョウ:13.0m [5] ケヤキ :40.0m [5] | |||
推定樹齢 | イチョウ:1200年 [1][4] ケヤキ :650年 [2] | |||
保護指定 | 野木町指定天然記念物 | |||
所在地 | 栃木県下都賀郡野木町野木 | |||
所在施設 | 野木神社 | |||
撮影日・状態 | 2023.06.06 : フクロウの雛鳥、巣立ちは6月4日、当日はイチョウの隣のサクラの枝にて休んでいた 2023.04.29 : 幹や大枝に変化なし、新緑の青々とした樹冠が美しい、ケヤキにフクロウが営巣中 2022.12.03 : イチョウとケヤキともに樹勢は良い様子、今年の「提灯もみ」は中止 | |||
アクセス | ||||
車 | 東北道:加須ICから約18km、佐野藤岡ICから約19km、栃木ICから約25km 圏央道:境古河ICから約17km | |||
電車 | JR古河駅 (宇都宮線・湘南新宿線) から約3km、野木駅から約4km | |||
参考情報 | ■現地資料 [1] 町指定文化財・公孫樹 :解説板、写真無し、坂上田村麻呂の伝承・信仰・樹齢など [2] 町指定文化財・ケヤキ :解説板、写真無し、海老沼常基の伝承・樹齢など ■外部ウェブサイト [3] 野木神社ツイッター :野木神社の公式アカウント、5月から6月はフクロウの様子を知れる [4] 野木町ホームページ :野木神社の情報あり [5] 巨樹巨木林データベース:当巨木の登録あり (1988年度の調査記録) ■少遠景の記録 [6] 友沼八幡神社のケヤキ :野木町、野木神社のケヤキに次ぐ巨木 [7] 法音寺のケヤキ :野木町、境内の塚に根差す大ケヤキ |
巨木と雑記.巨樹に包まれた野木町鎮守の森
栃木県の最南端に位置する野木町 [4] 。左右を渡良瀬遊水地と茨城県の古河市と接した地域にあります。 江戸時代には、下野国における日光街道で最初の宿場町として栄えました。 宿場があったのは、町の南西部に位置する野木地区。 ここには1600年もの歴史を有するという古社、巨木に包まれた野木神社 [1][2][3] が鎮座しています。 野木神社は栃木県の南部を代表する巨木スポットともいえます。 まずは社叢の筆頭となる御神木の大イチョウ。 巨樹巨木林DB [5] に登録された県内のイチョウでは、 最大の幹周を誇る (2023年6月時点)。 また県内最古の老樹といわれても、しっくりとくる風格極まる佇まい。 数多くの気根や変形した大枝も伸ばした特異なる樹容。 鎮守の森の中心で威厳に満ちた気を放っています。 主幹上部を失っているものの樹勢は良い。 樹冠は広く秋の黄葉もじつに風雅なものです。 社叢では参道の並木を含めてケヤキの巨木が目立ちます。 最大のものは、御神木の手前にそびえ立つもの。 じつに健全かつ端正な樹容の大ケヤキです。 肥大した重量感ある根本から、滑らかな曲線を描いて立ち昇る背の高い幹。 艶も感じる美丈夫な大ケヤキです。 ちなみに、野木神社はフクロウの繁殖地としても有名。 近年はこの大ケヤキの樹上にある洞が巣穴とされています。 (フクロウについては後述)
以下、野木神社の由緒 [1][2][4] について。主祭神は応神天皇の皇太子である莵道稚郎子命。 創建は仁徳天皇の御代の5世紀頃との伝承。 平安時代の延暦年間 (782-806)。 征夷大将軍の坂上田村麻呂が蝦夷討伐に向かう途中、当社に寄り戦勝祈願。 後に凱旋したとき結願の奉賽として社殿を建立。 御神木のイチョウは、この時に植えられた記念樹とも伝わるそうです。 鎌倉時代、源頼朝と三代実朝から社領や神馬の寄進を受ける。 室町時代になると戦乱により一時は荒廃するも、 長禄3年 (1459) に神官の海老沼常基により再興。 このとき境内に多くの木が植えられたそうで、 大ケヤキもその一本かもしれません。 江戸時代は代々の古河藩主から崇敬され庇護。 現在の社殿は、文政2年 (1819) に再建された古建築。 格子の隙間から精巧な彫刻を見ることができます。 冬の例祭、提灯もみ祭り [4] について。12月3日の夜、長い竹竿に付けた提灯をぶつけあう奇祭です。 もとは鎌倉時代を起源とする「七郷まわり」に由来。 神官一行は氏子である周囲の七か村を、神霊を奉じて巡行。 そのとき精進した若者たちが、 自分の村に神霊を招き入れようとして、 激しくもみ合ったことに由来するそうです。いつか見学してみたい。
巨木と雑記.社叢の巨木その他
巨木に包まれた野木町鎮守の森。 上述の御神木と傍らの大ケヤキに及ばずとも、 見事な巨木がたくさんあります。 その中で特に目立つ3本をご紹介。 まずは三之鳥居からすぐ手前の参道沿いにあるケヤキ。 実測幹周は約6.25m。 主幹上部の欠損などありますが、中々に貫禄ある姿です。 次に神楽殿の近く、ニリンソウの群生地に面したケヤキ。 実測幹周は約5.45m。 背が高く健全な姿をしています。 最後は社務所の背後にそびえるムクノキ。 根本に接近できませんが、幹周は5m近い太さがありそうです。
巨木と雑記.野木神社のフクロウ
渡良瀬遊水地に接した鎮守の森、豊かな自然環境に包まれた野木神社の社叢。 ここはフクロウの棲みかであり繁殖地。 毎年春の繁殖期になるとき、大ケヤキの洞を巣として子育てをします。 洞の位置は約30mほどの高さにある大枝の途中。 高い樹上のため肉眼ではよく見えない。 双眼鏡では倍率12くらい、一眼レフカメラでは500㎜以上の望遠レンズが必要に感じました。 大ケヤキの洞で営巣する例年の期間について。 4月中旬頃には卵が孵化していると見られ、 4月下旬には親鳥が頻繁に獲物を与えに出入りする。 巣立ちが近い5月連休中には、洞から雛鳥が顔を出してくる。 そして5月中旬頃に巣立ち。 その後、雛鳥は社殿北側の森に移り、親鳥から飛び方と獲物の狩り方を習っていく。 やがて夏の終わり頃には、若鳥へと成長して独り立ちするようです。
以下、2023年6月6日に撮影した、巣立ちから2日後の雛鳥の写真です。 当日は大勢のカメラを携えた見学者と、NHKの取材陣も来ていました。 今年の巣立ちは例年より3週間ほど遅い。 翌日には社殿北側の森へ移っていったそうです。 初めて見るフクロウの雛鳥には感激でした。 フワフワな毛玉の妖精みたいに可愛らしい。 それでいて顔、表情には知性を感じさせる。 生まれながらの静かなる森の賢者。
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