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    黒槐の木

    巨木の写真

    撮影日 2017.09.27 【01】諏訪神社の境内を包むエンジュの御神木.西側の全景. 黒槐の木01
    【02】西側 黒槐の木02
    【03】北側 黒槐の木03
    【04】北側 黒槐の木04
    【05】北側 黒槐の木05
    【06】東側 黒槐の木06
    【07】東側 黒槐の木07
    【08】南側 黒槐の木08
    【09】葉と実 黒槐の木09
    【10】解説板 黒槐の木10
    【11】境内 黒槐の木11
    【12】境内 黒槐の木12
    【13】境内 黒槐の木13

    巨木の詳細情報

    巨木の名前 黒槐の木[1]
    樹種 エンジュ(槐)(※黒槐ではない)
    幹周 4.5m[1・3]
    樹高 26m[1・3]
    推定樹齢 800年以上[1]
    特徴 単幹で枝下が高い
    保護指定 東御市指定天然記念物
    所在地 長野県東御市島川原
    所在施設 諏訪神社
    撮影日・状態 2017.09.27 : 樹勢良好.細身で背が高いクスノキの若木のような印象.
    アクセス
    ■小諸IC(上信越道)
      距離:約8.2km
      経由:市道-国道18-市道-県道166-県道40
    電車 ■滋野駅(しなの鉄道線)
      距離:約2km
      経由:駅から左のガード下を潜り、「布引橋」を渡ると面白い?
    参考情報 ■現地資料
    [1]現地解説板      :西側の根元にある.幹周・樹高・幹周など記載
    ■図書
    [2]樹皮ハンドブック   :著者・林将之、発行・文一総合出版、ISBN978-4-8299-002202
    ■Web
    [3]巨樹巨木林データベース:幹周と樹高を引用(調査年2016、全国巨樹・巨木林の会)
    [4]庭木図鑑・植木ペディア:エンジュとイヌエンジュの植生について参照
    ■観光
    [5]道の駅・みまき    :農産物直売所、御牧乃湯、御牧苑(レストラン)が主な施設
    近辺の巨木 宮ノ入のカヤ     :東御市内、当エンジュからは約6km.県内最大級の見事な大カヤ.
    中屋敷熊野神社のケヤキ:東御市内、当エンジュから約4km.幹周15m以上の大ケヤキだが・・・?

    巨木と雑記1.道の駅など

     2017年9月下旬。長野県の東信地方にて、1泊2日の観光と巨木巡りをした際のこと。 東御市にて車中泊した道の駅みまき[5]から 「中屋敷熊野神社のケヤキ」 へ向かう途中。移動を始めてまもくなく、県道40号線沿いに気になる巨木を偶然に発見。 それがこの「黒槐の木」でした。
     ちなみに、車中泊にこの道の駅を選んだのは、温泉施設の「御牧乃湯」があるからです。 温泉に入った後は、お酒と惣菜を買い、車内の晩酌へ直行。 東御市の地ビール「オラホビール( OH!LA!HO-BEER )」がとても美味しかった。 特に「ペールエール」という種類が気に入ったので、お土産(自分用)にもしました。 思い出したら飲みたくなりました…。 ちなみにamazonでも流通している様子。

    巨木と雑記2.エンジュの植生~この木はクロエンジュではない?

     初めて目にするエンジュ(槐)の巨木。浅学な私には聞きなれない樹木。 その植生について、樹木ハンドブック[2]と、庭木図鑑・植木ペディア[4]の情報を元に調べてみました。 すると面白いことが判明。この木の名称は誤りであったのです。

     エンジュの植生について。 中国北部を原産とするマメ科の落葉高木。 3~5cmの葉が互生。7~8月に白い小さな花が枝先にまとまって開花。 秋になると、複数が数珠のように繋がった豆のような実が結実。 訪れた9月下旬、実際にそのような実が生っていました(写真【09】参照)。
     他にもマメ科のイヌエンジュ(犬槐)という日本原産のものが存在。 分布は北海道および本州の中部地方以北。 似た姿の樹木であるエンジュとイヌエンジュは、以下のように樹皮と実の形で判別できるそうです。 そして、イヌエンジュの別名はクロエンジュ(黒槐)。

    【 樹皮 】
      エンジュ  :縦方向の深い裂目
      イヌエンジュ:全体的に黒っぽい、菱形の浅い裂目
    【 実の形 】
      エンジュ  :数珠状に繋がった形(【写真09】参照)
      イヌエンジュ:莢状に繋がった形(例・さやえんどう)

     諏訪神社のこの巨木、名前にイヌエンジュの別名である黒槐とあります。 しかし、樹皮や実の形状から、エンジュであることは間違いないでしょう。 「諏訪神社のエンジュ」や「島川原のエンジュ」などの名称が相応しそうな気がしてきました。

    巨木と雑記3.エンジュの感想

     このエンジュの巨木の第一印象。 県道上の遠くから見て、樹冠と幹の形からクスノキかと思いました。 県内に多いケヤキとは少し異なり、枝に曲線が多く柔らかい感じ。 接近すると、葉の形状や大きさ、幹の質感から、クスノキではないと気付く。 枝先は互生のツル植物っぽい葉で、樹皮はミズナラよりもシャープな縦皺。 解説板を見て、初めて出会うエンジュの巨木と判明。

     このエンジュは現地解説板[1]によれば、県下最大級のエンジュ。 環境省の巨樹巨木データベース[3]でエンジュを調べてみると、全国的にも幹周4mを超えるものは少ない様子。 ちなみに全国最大のエンジュは、神奈川県にある「中井のエンジュ」で、幹周は約8m[3]。
     このエンジュ、触りたくなる木肌以外は、一見して変わった姿には見えません。 枝下が高いため、特徴ある葉や実は間近に観察できませんでした。 樹形は端整なもの。スラリと伸びたスマートな単幹は中腹で双幹となり、全体的に円形の広い樹冠を形成。 最も感じ入ったのが、東側の根元から見上げた姿。 しなやかに曲線を描いて奔放に伸びる枝張りは見事。朝陽を浴びて輝く姿が美しかった。

     なお樹齢は、クスノキなどに例えるなら、素人目には200年ほどに見えます。 現地解説板の800年という数値には疑問。生長が遅い木なのでしょうか。 樹齢の根拠に関係ありそうな、諏訪神社の由緒についてはよく分かりません。