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嘉右衛門山の逆さケヤキ
巨木の写真
巨木の詳細
巨木の名前 | 嘉右衛門山の逆さケヤキ[2] |
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樹種 | ケヤキ(欅) | |||
幹周 | 8m[2・4] | |||
樹高 | 22m[2] 23m[4] | |||
推定樹齢 | 350年[2] | |||
特徴 | 複数の支幹による広大な樹冠 | |||
保護指定 | 宮城県指定天然記念物 | |||
所在地 | 宮城県白石市大平中目字梨ノ木平山 | |||
所在施設 | 西山の山中(地元組合の管理地) | |||
撮影日・状態 | 2017.09.14 : 樹勢は良く広大な樹冠を誇示.夏期は羽虫が多く下草が繁茂するので注意. | |||
アクセス | ||||
車 | ■白石IC(東北自動車道) 距離:約8.6km 経由:国道4号-(白井石大平・右折)-細い市道 ■国見IC(東北自動車道) 距離:約17.4km 経由:県道46号-国道4号-(兼田の付近を左折)-細い市道 | |||
電車 | ■白石駅(JR東北本線) 距離:約4.5km 経由:市営バスかタクシーを利用 | |||
バス | ■市営バス・越河線 乗車:白石駅(西口のローターリーの乗場) 降車:大平(4号線沿い、山道入口まで徒歩約1.3km) | |||
参考情報 | ■現地解説板 [1]逆さケヤキ道案内 :山道入口にある地図つきの案内図 [2]嘉右衛門山の逆さケヤキ:ケヤキの南側に離れて設置、幹周・樹高・枝張・樹齢・伝承など [3]逆さケヤキの由来 :詳しい伝承など(上記解説板の隣に設置) ■Web [4]巨樹巨木林データベース:幹周と樹高を引用(調査年2000) [5]まんば日本昔ばなしDB:「嘉右衛門山の神」が紹介されている |
巨木と雑記1.宮城県南部の巨木巡り・最初の1本
宮城県の南部で1泊2日の巨木巡り。 予定は火山湖の御釜で有名な蔵王への登山と、麓の蔵王町から太平洋岸の亘理町までの巨木巡り。 初日はまず蔵王へ。しかし荒天となり、山頂一帯はガスに包まれ、強風と雨に打たれる始末。 ルートは大黒天~レストハウス~熊野岳の往復。道中でガスが薄れるのを期待して1時間ほど待つが無駄。 御釜を囲む荒涼たる素晴らしい山岳風景、拝みたかった…。 (参考:熊野岳の写真、 レストハウスからの写真) 蔵王を下山後、麓の蔵王町に戻ってくると下界の天気は晴れているものの、気分は曇ったまま。 消沈していた気分を高めるべく予定を変更。 2日目に訪れる予定であり、今回の巨木巡りで特に期待していた白石市の「嘉右衛門山の逆さケヤキ」へ直行することに。 山中にある巨木のため、登山の格好をしたままなのも都合が良い。
巨木と雑記2.西山の道中
逆さケヤキへのアクセスは、地図中の中目集落からの山道を登る他に、 西山麓から通ずる林道・新町線を頼る方法があります。 林道の入口は国道113号線沿いにある小原温泉の手前の集落( 地図リンク)。 この林道の後半は未舗装。詳しい路面や整備の状況は不明。車でアクセスされる際はご用心を。 毘沙門堂の前から逆さケヤキに通じる西山の山道は、解説板[1]によると、ゆっくり歩いても40分。 私の場合は約30分ほど。序盤は南沢に沿って進んだ後、右へ曲がって分岐する北沢に沿って登ります。 やがて通せんぼ岩を過ぎると左へ曲がり、山腹の道となります。 その先に展望地(木々に覆われ開けていない)、九十九折の先にある馬頭観音を過ぎれば、逆さケヤキはあと少し。
巨木と雑記3.逆さケヤキの感想
木々に覆われた山中にある、広く明るい開けた空間。解説板[1]によると標高は450m付近。 その中心に立つのは、広場を覆うように大枝を伸ばす逆さケヤキ。感動のご対面。 枝張の範囲は解説板[2]によると、東西44m、南北45m。約1550平方m近い広さ(直径44mの円として)。 樹形は単幹でなく、12本ほどの大きな支幹に分かれ、四方に分散。 根元付近は密な塊となっているので、幹周相当の巨木らしい迫力と重量感。 大枝に目立つ欠損は見られず、広大な樹冠は円形に整い調和。 健全で自由奔放に伸び広がる姿は実に爽快であり、山中の巨木らしい野性味も感じます。 開けた山腹の斜面という立地も素晴らしく、大ケヤキの姿をより際立てる優れた舞台装置。 大ケヤキの傘の下で過ごすひと時は実に心地よいもの。荒天の蔵王で消沈した気分は大いに昂ぶりました。 樹形について少し考察。 根元付近からこれほど多数の支幹に分散するは少し不自然。 合体木のようにも見えるが、全体的に統一感や調和がある。 周囲に高木が無かったから、生存戦略として幹を直上させずに周囲に広げてきたのか。 推定樹齢は解説板[2]によると約350年。 この若い樹齢で幹周8mにも成長できるものか。 少し中央に空間のある樹形。これは萌芽更新したケヤキなのでは。 主幹を失った後、古株を囲むように若枝が成長して現在の姿になった、とは考えられないでしょうか。 ちなみに、茨城県にも似たような姿のケヤキ 「猿喰いのケヤキ」 があります。こちらも素晴らしく広大な樹冠。根元にモミジを抱えているのも似ています。
巨木と雑記4.逆さケヤキの伝承
現地解説板[3]には、逆さケヤキの由来が記されています。 それによると、源義家(八幡太郎)が前九年の役(1051~1062)の際、この山中で陣を張っていたとき、 地面に挿した杖が根付いた、との伝承に因るもの。源氏祖先の英雄である義家に纏わる伝承は多いですね。 次に嘉右衛門という名前について(解説板[1・2・3]より)。 地元の商人であった人物で、旧米沢街道であり中の目峠を越えて小原へ抜けるこの山道を行き来していた。 嘉右衛門はあるとき、山道で狼に遭遇。 狼は口内に刺さった骨を抜くよう促し、嘉右衛門はこれを助ける。 この一件以来、狼は山中で嘉右衛門を守るようになり、山賊や他の狼から襲われることは無かった。 逆さケヤキの根元に祀られている山神の祠には、当初は狼の牙が祀られていたそうです。 この伝承は「嘉右衛門山の神」という話で「まんが日本昔ばなし」でも紹介されています。
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