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    府馬の大クス

    巨木の写真

    撮影日:2018.01.30 【01】国内最大級のタブノキは香取府馬区の鎮守、宇賀神社の御神木 府馬の大クス-1
    【02】鳥居・東側 府馬の大クス-2
    【03】東側 府馬の大クス-3
    【04】南側 府馬の大クス-4
    【05】南側 府馬の大クス-5
    【06】西側 府馬の大クス-6
    【07】西側 府馬の大クス-7
    【08】北側 府馬の大クス-8
    【09】北側 府馬の大クス-9
    撮影日:2009.02.28 【01】国指定天然記念物の荘厳な立姿の大タブ 府馬の大クス-1
    【02】南側 府馬の大クス-2
    【03】東側 府馬の大クス-3
    【04】西側 府馬の大クス-4
    【05】北側 府馬の大クス-5

    巨木の詳細情報

    巨木の名前 府馬の大クス [1][2][3][4]
    樹種 タブノキ(椨)
    幹周 15m [2][4], 8.57m [3]
    樹高 16m [2][4], 13m [3]
    推定樹齢 1300~1500年 [1][2]
    特徴 太い主幹、齢千年の古木らしい立姿
    保護指定 国指定天然記念物
    所在地 千葉県香取市府馬
    所在施設 宇賀神社、大クス展望公園
    撮影日・状態 2018.01.30 : 2013年の台風26号で北側の側幹が東側の根本まで折損、傷跡は同年から治療
    2009.02.28 : 主幹に空洞と複数の大枝の欠損、2003年から2004年に大規模な樹勢回復工事
    アクセス
    大栄IC(東関東自動車道)から約24.6km
    電車 小見川駅(JR成田線)から約7km、以下路線バスを利用可能
    バス バス停・小保内から約600m
    千葉交通の路線バス府馬線に小見川駅から乗車
    参考情報 ■現地資料
     [1] 案内板・大クス展望公園  :駐車場に面した当公園の案内板、以下写真7を参照
     [2] 配布テキスト・府馬の大クス:現地配布資料、以下の写真8と9を参照
    ■公式ウェブサイト
     [3] 巨樹巨木林データベース  :2000年度の調査記録(香取市教育委員会社会教育係)
     [4] 香取市ホームページ    :現地配布テキストと同様の府馬の大クスの詳細情報あり
    ■少遠景の記録
     [5] 巨木・波崎の大タブ    :利根川を挟んだ隣町、茨城神栖市にあるタブノキの巨木

    巨木と雑記.大クスの周囲景観と現地資料

     ここに訪れたら先ずは府馬の鎮守である宇賀神社の前で礼拝。 次に大クスを満足いくまで拝観した後に、周囲を散策してみましょう。 大クス展望公園として整備されています。 社の近くに建つ大クス資料館という小屋には、興味深い資料 [2] が配布されていることもあります。 大クスから北西側には子グスと呼ばれる見事なタブノキの巨木 [2][4]。 西側広場にある展望台からは、北に広がる谷津の景観、麻績千丈ヶ谷 [1] を見渡せます。 奥には鹿島臨海工業地域の煙突群も遠望。 駐車場は集落の北側にもあり、小道で公園と繋がっています(地図参照)。

    府馬の大クス・大クス展望公園-01 大クスの北西側に立つ「子グス」は、大クスから伸びた枝が地面に根付き伏状更新して独立したものとされる。 広がった樹冠は今や親よりも大きい。 西側から親子が並ぶ姿が感動的なものに映った。
    02:子グス 府馬の大クス・大クス展望公園-02
    03:宇賀神社 府馬の大クス・宇賀神社-03
    04:広場 府馬の大クス・大クス展望公園-04
    05:展望台 府馬の大クス・大クス展望公園-05
    06:展望台 府馬の大クス・大クス展望公園-06
    07:案内板 府馬の大クス・大クス展望公園-07
    08:テキスト 府馬の大クス-08
    09:テキスト 府馬の大クス-09

    巨木と雑記.大クスと当地の歴史

     田園地帯に面して入り組む丘陵地、谷津の景観が広がる地域。 利根川の下流域で顕著な地形、縄文海進の頃は低地の田園地帯は入り江で、海蝕の名残がある地形です。 標高約40mの丘の上に大クスは立っています。 山ノ堆という地名が指すように、北の田園側から見れば小山です。 [1]

     宇賀神社は創建が宝亀4年(773)とされる府馬地区で最古の神社。 祭神は宇気母知神。 大クスが神社の御神木とされることが、1000年を超える樹齢の根拠でしょうか。 一帯は中世に千葉一族の府馬氏が拠点とした地域。 西側には府馬城跡があり、大クス展望公園の一角からも府馬城に関わる遺構が発掘。 ここも曲輪の一部だったか。 大クスは江戸時代後期には名木として知られていたようで、 当時に刊行された下総名勝図絵に姿が描かれています。 古くから御神木として信仰されてきた証、根元には正徳元年(1711)の石祠が埋もれています。 [1][2][4]

     府馬の大クスの樹種はタブノキですが、 大正15年の天然記念物の指定時にクスノキとして登録。 後にタブノキと判明した後も、大クスという名前が定着しています。 クスノキとタブノキの違いは樹皮と葉で見分けられるでしょう。 樹皮はクスノキが細かな縦の裂け目が顕著で、 タブノキは白っぽい印象で大木になると所々が鱗状に剥離。 葉はクスノキの方が丸みを帯びた楕円形をしています。

    巨木と雑記.大クスの感想(2009年2月時点)

     初めてこの巨木を前にしたとき、傷つきながらも力強さのある荘厳な立姿に圧倒されました。 幹には大きな空洞があり、複数の大枝と主幹上部を欠損しているものの、目を惹き付ける威容。 荒波のように隆起した根、タブノキとしては破格の太い単幹。 神々しい最盛期の姿を偲ばせる部位がよく残っおり、 懸命に若枝を立ち昇らせています。 壮絶な命の歴史を重ねて、美しく老いて生を全うしていく立姿に深い感銘を受けました。

    巨木と雑記.大クスの感想(2018年1月時点)

     約9年後の再訪は、2013年10月の台風26号による大きな損傷後のこと。 外観は変わりましたが、予想より樹勢の衰えは感じさせない。 失った北側の主幹上部は腐朽していた部位が多かったことと、 長年にわたる樹勢回復の措置と、損傷後すぐの治療が功を奏しているのでしょう。 特に驚いたのが損傷跡の修復面。 東側の根元まで達しているのですが、とても自然な外観に整えられているのです。 空洞を埋めた後に表面を樹皮に見えるように整形。 これには倒壊した部位から採取した木片も使っている? 充填剤むき出しのままや金属板で覆うよりも、極めて粋に感じられる仕事ぶりに感動しました。