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    広瀬の大なら

    巨木の写真

    撮影日 2016.08.26 【01】道路からの様子:国道140号線から.大ナラの周囲にもコナラやクリが立つ 広瀬の大なら01
    【02】西側① 広瀬の大なら02
    【03】西側② 広瀬の大なら03
    【04】南側① 広瀬の大なら04
    【05】折損した幹 広瀬の大なら05
    【06】南側② 広瀬の大なら06
    【07】南側③ 広瀬の大なら07
    【08】東側① 広瀬の大なら08
    【09】東側② 広瀬の大なら09

    巨木の詳細情報

    巨木の名前 広瀬の大なら [1]
    樹種 コナラ(小楢)
    幹周 6.15m [1], 5.63m [2]
    樹高 24.85m [1], 28m [2]
    推定樹齢 350年 [1]
    特徴 肥大した根本
    保護指定 山梨市指定天然記念物
    所在地 山梨県山梨市三富川浦(旧・三富村)
    所在施設 国道沿いの私有地(見学可)
    撮影日・状態 2016.08.26 : 近年に強風などで幹の上部と大枝の一部が折損してしまった
    アクセス
    中央自動車道・勝沼ICから約27.5km
    電車 JR中央線・山梨市駅から約24km、タクシーかバスを利用
    バス 西沢渓谷線・新地平から約200m、山梨市駅から西沢渓谷行に乗車
    参考情報 ■現地資料
     [1] 解説板・広瀬の大なら :幹周・樹高・樹齢のほかに由来など記載
    ■公式サイト
     [2] 巨樹巨木林データベース:2000年度の調査記録
    ■少遠景・巨木巡り
     [3] 杣口のサワラ林    :小鳥山の麓の谷間に広がるサワラの原生林、幽玄な雰囲気
     [4] 不動滝のトチノキ   :埼玉県秩父市、旧大滝村域にあるトチノキ

    巨木と雑記

    山梨県で最大級のコナラの巨木・広瀬の大なら。 県内の北部に位置する山中、広瀬ダムの畔に立っています。 大ナラの立つ三富川浦の地区は、長野県と埼玉県との県境にも接する、 甲武信ヶ岳(2457m)を盟主とした奥秩父の主脈が聳える深い山域。 原生林に覆われた雄大な山脈、その合間に抱かれた美しい渓谷や滝。 登山者にも人気の風光明媚な山里です。

    大ナラの立つ間近、広瀬ダムの左岸を通る国道140号線は、奥秩父主脈をトンネルで貫通。 ちょうど、雁坂峠(標高2082m)の下を、 雁坂トンネル(全長6.6kmの有料道路)で貫き、埼玉の秩父市と繋げています。 1988年にこのトンネルが開通するまでは、秩父と繋ぐ自動車道がなく、 雁坂峠を越える登山道が、国道140号線に指定され、 秩父往還と呼ばれ、江戸時代には番所が置かれいました。 秩父往還の峠越えの道中に立つ大ナラは、多くの旅人達の姿を見つめてきたのでしょう。

    大ナラの立つ広瀬の集落は、明治期に発足した旧・三富村の地域。 養蚕や林業を生業とした集落で、大ナラは山の神が宿る御神木とされてきました。 太い根本の幹には空洞があり、そこには大山祇神(オオヤマツミノカミ)が祀られたそうです。 昭和初期には、塩山駅から集落から軌道が開かれ、木材の大きな産地となりました。 しかし、昭和50年(1975)に広瀬ダムが建造され、集落の中心地はダム湖の底に。 その後、地域の暮らしは、果樹栽培や、観光業へ移行(2005年には山梨市に合併)。 立派な国道が開通し、時代の流れが加速していったのです。

    大ナラを訪れて、まず驚いたのは、まだ新しく見える生々しい幹の傷跡。 どうやら、2015年に強風か積雪によるものか、主幹の上部と中腹の大枝が折損した様子。 大きな円形の樹冠を広げていた大枝の中でも、特に立派なものが失われた様子。 半円形となりボリュームを欠いて、立姿は往時より寂しくなってしまいました。 しかし、根本に空洞はあるものの、主幹はまだしっかりとしています。 傾斜地に隆起した根や太い幹は迫力があり、健在な枝も少なくありません。 県内で最大級のコナラの巨木の威厳は保たれています。 集落では、毎年5月17日、大ナラの元で山の神を祀る祭事が行われ、 今も信仰は続いています。