巨木TOP / 富山 / 西岩瀬諏訪社の大けやき
西岩瀬諏訪社の大けやき
巨木の写真
巨木の詳細情報
巨木の名前 | 西岩瀬諏訪社の大けやき [1] |
|
||
---|---|---|---|---|
樹種 | ケヤキ(欅) | |||
幹周 | 10m [1][3], 9.3m [2] | |||
樹高 | 30m [1][3], 25m [2] | |||
推定樹齢 | 1000年 [1][3] | |||
特徴 | 板根の発達した太く逞しい根本 | |||
保護指定 | 富山指定天然記念物 | |||
所在地 | 富山県富山市四方西岩瀬 | |||
所在施設 | 西岩瀬諏訪社 | |||
撮影日・状態 | 2019.09.01 : 樹冠上端の枝先を複数失っている、潮風が厳しいか、樹勢は全体的に良さそう | |||
アクセス | ||||
車 | 北陸自動車道・富山ICから約14km(滑川ICからは:約21km) | |||
電車 | 富山駅から約7.5km、タクシーか路線バスを利用 | |||
バス | 富山駅から富山地方鉄道の路線バス、四方神明町行きの路線を利用可 南口の富山駅前で乗車し、荒屋で下車後に徒歩約700m | |||
参考情報 | ■現地解説板 [1] 西岩瀬諏訪社の大けやき :内容は上記写真10を参照のこと ■公式ウェブサイト [2] 巨樹巨木林データベース :1988年度の調査記録あり [3] とやまの文化遺産 :富山県内の文化遺産を紹介、天然記念物の区分には巨木も多い [4] KTGIS.net「今昔マップ」:埼玉大学の谷謙二氏が運営、時系列の地形図を閲覧できるサイト [5] 富山県公式サイト :富山港(旧東岩瀬港)に歴史紹介に神通川の変遷の記述あり ■少遠景の記録 [6] 宮川の大けやき :富山市の隣にある上市町の日吉神社に立つ大ケヤキ |
巨木と雑記.四方と西岩瀬の歴史
巨木巡りをしていると、気になる地形や地名の場所にも訪れることが。 今回、富山県で最大級の大ケヤキを求めて訪れた、西岩瀬諏訪社のある四方(よかた)もそうでした。 ここは富山湾に面した地域で、四方漁港と海水浴場のある八重津浜があります。 現地資料 [1] によると、この地は越中の主要な港町、八重津湊として栄えたところ。 その時代、神通川の流路は現在より西、河口が西岩瀬にあった。 当時から大ケヤキは巨木であったようで、船乗りたちから航海の安全を祈願される神木だったそうです。
気になる神通川の旧流路は、今昔マップ [4] で知ることができました。 過去と現在の地形図を対比して閲覧できるウェブサイトです。 上記画像は今昔マップから引用した神通川の河口付近の地形図。 濃い青の横線で埋まっている範囲が旧流路。 河口が現在より西、四方の西岩瀬にあったことが分かります。 四方は神通川の大きな中州、四方位を川と海に囲まれていたことが地名の由来なのかも。 神通川の河口が現在の流路、東岩瀬の側になったのはいつの時代か。 富山県公式サイト [5] によると、万治元年(1658)の大洪水によって流路が変遷。 これによって西岩瀬から東岩瀬が主要な港になり、現在の富山港の前身となりました。
巨木と雑記.大ケヤキの感想
西岩瀬諏訪社の御神木は富山県で最大級のケヤキ。 県内のケヤキでは、上市町の宮川の大ケヤキ [6] と双璧をなす巨木でしょう。 この見事な大ケヤキに特に驚かされたことは、板根状に発達した逞しい根本と、海沿いという生育地。 私が今までに巡ってきたケヤキの巨木たちは、全て内陸の平地か、標高の低い山間の地域に生育したもの。 この大ケヤキは、海岸線から300メートル付近に生育。 クロマツなどしか生き残れなさそうな環境です。 荒海の潮風に耐えて幾星霜、これほどの感嘆たる巨体を練り上げた凄まじい生命力。 船乗りたちが神木として、航海の安全を祈願した気持ちが分かります。 離れた位置から大ケヤキの全体像を観察してみると、樹冠上部の枝先を多く失っていることが分かります。 樹勢が衰えつつあり、強い潮風に負けてしまったか。 これには、周辺環境の変化にも原因があるように考えられます。 現地資料 [1] によると、昔の西岩瀬には海岸林が多く、岩瀬野の森と呼ばれていたとか。 風除けとなる木々の壁があったことが、巨樹に生長することができた要因のひとつでしょう。 海が近くなった岩瀬野森の王樹が、少し寂し気に見えてくるのでした。
富山県TOP | △TOP | 前へ戻る |