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    西岩瀬諏訪社の大けやき

    巨木の写真

    撮影日(2019.09.01) 【01】八重津浜に面して立つ富山県で最大級の大ケヤキ 西岩瀬諏訪社の大けやき-01
    【02】東側 西岩瀬諏訪社の大けやき-02
    【03】東側 西岩瀬諏訪社の大けやき-03
    【04】東側 西岩瀬諏訪社の大けやき-04
    【05】北側 西岩瀬諏訪社の大けやき-05
    【06】北側 西岩瀬諏訪社の大けやき-06
    【07】北側 西岩瀬諏訪社の大けやき-07
    【08】北側 西岩瀬諏訪社の大けやき-08
    【09】西側 西岩瀬諏訪社の大けやき-09
    【10】解説板 西岩瀬諏訪社の大けやき-10
    【11】社殿 西岩瀬諏訪社の大けやき-11
    【12】八重津浜 西岩瀬諏訪社の大けやき-12
    【13】八重津浜 西岩瀬諏訪社の大けやき-13

    巨木の詳細情報

    巨木の名前 西岩瀬諏訪社の大けやき [1]
    樹種 ケヤキ(欅)
    幹周 10m [1][3], 9.3m [2]
    樹高 30m [1][3], 25m [2]
    推定樹齢 1000年 [1][3]
    特徴 板根の発達した太く逞しい根本
    保護指定 富山指定天然記念物
    所在地 富山県富山市四方西岩瀬
    所在施設 西岩瀬諏訪社
    撮影日・状態 2019.09.01 : 樹冠上端の枝先を複数失っている、潮風が厳しいか、樹勢は全体的に良さそう
    アクセス
    北陸自動車道・富山ICから約14km(滑川ICからは:約21km)
    電車 富山駅から約7.5km、タクシーか路線バスを利用
    バス 富山駅から富山地方鉄道の路線バス、四方神明町行きの路線を利用可
    南口の富山駅前で乗車し、荒屋で下車後に徒歩約700m
    参考情報 ■現地解説板
     [1] 西岩瀬諏訪社の大けやき  :内容は上記写真10を参照のこと
    ■公式ウェブサイト
     [2] 巨樹巨木林データベース  :1988年度の調査記録あり
     [3] とやまの文化遺産     :富山県内の文化遺産を紹介、天然記念物の区分には巨木も多い
     [4] KTGIS.net「今昔マップ」:埼玉大学の谷謙二氏が運営、時系列の地形図を閲覧できるサイト
     [5] 富山県公式サイト     :富山港(旧東岩瀬港)に歴史紹介に神通川の変遷の記述あり
    ■少遠景の記録
     [6] 宮川の大けやき      :富山市の隣にある上市町の日吉神社に立つ大ケヤキ

    巨木と雑記.四方と西岩瀬の歴史

     巨木巡りをしていると、気になる地形や地名の場所にも訪れることが。 今回、富山県で最大級の大ケヤキを求めて訪れた、西岩瀬諏訪社のある四方(よかた)もそうでした。 ここは富山湾に面した地域で、四方漁港と海水浴場のある八重津浜があります。 現地資料 [1] によると、この地は越中の主要な港町、八重津湊として栄えたところ。 その時代、神通川の流路は現在より西、河口が西岩瀬にあった。 当時から大ケヤキは巨木であったようで、船乗りたちから航海の安全を祈願される神木だったそうです。

    今昔マップ神通川河口 「KTGIS.net」の過去と現在の地形図を対比できる「今昔マップ」より引用した画像。 濃い青色の横線で埋まっている範囲が神通川の旧流路(1658年以前?)。左上が西岩瀬のある四方の地域。

     気になる神通川の旧流路は、今昔マップ [4] で知ることができました。 過去と現在の地形図を対比して閲覧できるウェブサイトです。 上記画像は今昔マップから引用した神通川の河口付近の地形図。 濃い青の横線で埋まっている範囲が旧流路。 河口が現在より西、四方の西岩瀬にあったことが分かります。 四方は神通川の大きな中州、四方位を川と海に囲まれていたことが地名の由来なのかも。

     神通川の河口が現在の流路、東岩瀬の側になったのはいつの時代か。 富山県公式サイト [5] によると、万治元年(1658)の大洪水によって流路が変遷。 これによって西岩瀬から東岩瀬が主要な港になり、現在の富山港の前身となりました。

    巨木と雑記.大ケヤキの感想

     西岩瀬諏訪社の御神木は富山県で最大級のケヤキ。 県内のケヤキでは、上市町の宮川の大ケヤキ [6] と双璧をなす巨木でしょう。 この見事な大ケヤキに特に驚かされたことは、板根状に発達した逞しい根本と、海沿いという生育地。 私が今までに巡ってきたケヤキの巨木たちは、全て内陸の平地か、標高の低い山間の地域に生育したもの。 この大ケヤキは、海岸線から300メートル付近に生育。 クロマツなどしか生き残れなさそうな環境です。 荒海の潮風に耐えて幾星霜、これほどの感嘆たる巨体を練り上げた凄まじい生命力。 船乗りたちが神木として、航海の安全を祈願した気持ちが分かります。

     離れた位置から大ケヤキの全体像を観察してみると、樹冠上部の枝先を多く失っていることが分かります。 樹勢が衰えつつあり、強い潮風に負けてしまったか。 これには、周辺環境の変化にも原因があるように考えられます。 現地資料 [1] によると、昔の西岩瀬には海岸林が多く、岩瀬野の森と呼ばれていたとか。 風除けとなる木々の壁があったことが、巨樹に生長することができた要因のひとつでしょう。 海が近くなった岩瀬野森の王樹が、少し寂し気に見えてくるのでした。