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    天城神社のシイ

    巨木の写真

    撮影日 2017.02.17 【01】シイ北側①:太く逞しい根本から伸びた真っ直ぐな幹 天城神社のシイ01
    【02】シイ北側② 天城神社のシイ02
    【03】シイ北側③ 天城神社のシイ03
    【04】シイ北側④ 天城神社のシイ04
    【05】シイ西側① 天城神社のシイ05
    【06】シイ西側② 天城神社のシイ06
    【07】シイ南側① 天城神社のシイ07
    【08】シイ南側② 天城神社のシイ08
    【09】シイ東側 天城神社のシイ09
    【10】神社・境内 天城神社のシイ10
    【11】狛犬① 天城神社のシイ11
    【12】狛犬② 天城神社のシイ12
    【13】狛犬③ 天城神社のシイ13

    巨木の詳細情報

    巨木の名前 天城神社のシイ(お宮の椎の木) 樹種 スダジイ(すだ椎)
    幹周/樹高 7.67m / 18m 推定樹齢 800年
    保護指定 伊豆市指定天然記念物 所在地 静岡県伊豆市湯ケ島
    撮影日/天候
    (状態)
    2017.02.17 / 雨 : 樹勢は良好で、幹は単幹で直幹、樹冠は円形、端正な立姿の老シイ.
    アクセス
    ■沼津IC(東名高速道)
      距離 :約42km
      経由 :伊豆縦貫自動車道(函南IC)、国道136・414
    電車 ■修善寺駅(JR・伊豆箱根鉄道)
      距離 :約12.5km(国道136・414経由の場合、最寄バス停まで)
      バス :新東海バスor南伊豆東海バスを利用(詳細は以下)
    バス ■修善寺駅~弘道寺入口
      新東海バス  :路線(湯ヶ島温泉、持越温泉、昭和の森、八丁池口)
      南伊豆東海バス:路線(下田駅、河津駅)
    備考 湯ヶ島までは修善寺駅からバスで約30分ほど。 駐車場は弘道寺で管理している様子なので、利用する際は神社側に寄せて停めるべきだろう。
    近辺の観光 伊豆市観光協会 :伊豆市の公式の観光案内のサイト.
    独鈷の湯    :桂川河畔に湧く修善寺温泉発祥の湯.現在は見学のみ.
    修善寺     :空海が大同2年(807年)に開基したと伝わる古刹.寺宝が展示された宝物館が併設.
    荒原の棚田   :日本の棚田百選の一つ.地図の地点から東と南に続く棚田がビューポイントらしい.
    筏場のわさび田 :静岡県の棚田10選の地でもある広大なワサビ田(約15ヘクタール).
    湯本館     :湯ケ島の老舗の温泉宿.川端康成が伊豆の踊子を執筆した宿.日帰り入浴できるらしい.
    河鹿の湯    :湯本館のすぐ南にある共同浴場.更に南には犬猫温泉なるものが…?
    浄蓮の滝    :高さ25m、幅7mの伊豆を代表する名瀑布の一つ.周辺が観光施設化されている.
    道の駅・天城越え:昭和の森会館、物産店・天城わさびの里&竹の子かあさんの店、の主要3施設.
    天城山・登山口①:八丁池口.路線バスで至れる.山頂(万三郎山)まで約3時間20分。
    天城山・登山口②:旧天城トンネルから天城峠~大見分岐~八丁池と経由.山頂まで約5時間.
    天城山・登山口③:天城高原ゴルフ場(東山麓)の側からの最短コース.山頂まで約2時間20分.
    土肥金山    :江戸~昭和初期にかけて採掘された伊豆最大の金山.坑道跡や観光施設がある.
    近辺の巨木 天城の太郎杉

    巨木の地図

    巨木と雑記

    【 湯ヶ島について 】
     天城湯ヶ島町が位置するのは伊豆半島の中央部。 伊豆の最高峰・天城山(標高1406m)の北麓、ほぼ山間部で占める地域です。 中央を南北に流れる狩野川の河岸段丘に沿って開けており、ここを下田街道が縦断。 街道沿いの北端の地域が、伊豆を代表する温泉地の一つである湯ヶ島温泉郷。 この温泉地に、伊豆で最大級のスダジイを御神木とする天城神社があります。
     なお、湯ヶ島は温泉地の他にも有名なものが。 山の清流で栽培した特産品のワサビ。 そして下田街道沿いの南端にある天城峠は、著名な小説の舞台や歌の題材になっているので有名です。
     ( 補足:天城湯ヶ島町は2014年4月から伊豆市へ合併 → 伊豆市湯ヶ島 )

     湯ヶ島温泉は多くの文人から愛された歴史ある温泉地。 湯元館は川端康成が「伊豆の踊り子」を執筆した旅館。 白壁荘は井上靖が頻繁に投宿。また、石川サユリの名曲「天城越え」が作詞作曲された旅館でもあります。 井上靖はこの地で小学生時代を過ごし、その頃の自叙伝が元となった「しろばんば」には天城神社も登場。 ちなみに作中での天城神社は、教師のサキ子と中川が逢瀬を重ねた場所…。

    【 御神木について 】
     天城神社のスダジイの御神木は社殿の向って右手前に立っています。 根本は逞しく肥大化。複数の幹が絡み合って1本の幹になるように波打つ様は迫力があります。 幹は単幹で円錐形に上昇、樹冠は広範囲に円形に繁茂。実に端正な立姿の大シイです。 北側の根本から見上げる姿は、クスノキの巨木のような表情も感じられました。 推定樹齢は800年とされますが、樹勢は旺盛に見え、目立った損傷がありません。 このため、老木が醸す風格はありますが、もっと若々しくも見るえ大シイ。 降雨量が多い湿潤な伊豆の環境に適合したのでしょう。
     この大シイが端正な立姿の理由の一つを考察。それは椎茸栽培か。 現地解説板によれば、湯ヶ島で椎茸の人工栽培が始められたのは元禄年間(1688~1703)。 それ以後、この大シイも椎茸の栽培の原木として使用されることがあったとか。 樹勢を損なわないよう、大きくなった下枝やヒコバエを剪定のように伐採。 そして集落を潤す椎茸栽培のシンボルとしても大切にされたこと。・・・どうでしょうか。 人々の暮らしの繋がりと深かった御神木です。

    【 天城神社について 】
     最後に天城神社について少し。 調査不足で創建年代や祭神が分かりません。 奉納された絵馬の記録から、明和2年(1765)より前から存在していたことは明確。 この頃は、椎茸・ワサビ・炭などの生産が盛んとなり、江戸へも流通するようになったそうです。 山の自然の恵みで暮らす集落の生活。長く険しい山道を越える旅路。 これらの守護を望んで祀られた祭神は、恐らく山の神(大山祇神)ではないでしょうか。 江戸や大阪への海運の港町として栄えた下田へ続く街道。その最大の難所は天城越え。 多くの行商人や旅人たちが、天城神社に道中の安全を祈願したことでしょう。
     境内にあるもので、御神木の他に特に気になったものが狛犬。前述の絵馬と同じく明和2年に奉納。 かなり癖の強い個性的な造形で、南国のような異国情緒も感じられます。 人面のような顔を持つ頭部は、体の3割以上は占める大きなもの。 この二対の大きな顔は、向かい合うことなく、同じ方向を向いていいます。 その理由を説明する伝承にはこんなものが。 それは、天城山の方角を睨んで、山中の山犬(狼?)が里に来ないように威嚇しているというもの。 この地に山犬が多く生息したことを物語る狛犬でもあるようです。