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平沢弥陀の杉
巨木の写真
巨木の詳細
巨木の名前 | 平沢弥陀の杉 [1] |
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樹種 | スギ(杉) | |||
幹周 | 9.66m [1], 8.5m [5] | |||
樹高 | 50m [1][2] | |||
推定樹齢 | 850~900年 [1] | |||
特徴 | 横に伸びた大きな下枝 | |||
保護指定 | 宮城県指定天然記念物 | |||
所在地 | 宮城県刈田郡蔵王町平沢 | |||
所在施設 | 達磨堂の境内地 | |||
撮影日・状態 | 2017.09.15 : 幹の根元や中腹に損傷があるが全体的に樹勢は良い様子、主幹上部の葉も繁茂 | |||
アクセス | ||||
車 | 村田IC(東北道):約4.5km | |||
電車 | 白石駅(東北本線):約18km(平沢地区は駅に停車する路線バスの沿線外) | |||
参考情報 | ■現地解説板 [1]平沢弥陀の杉 :平安時代の植樹、五十嵐汶水に纏わる歴史なども記載 [2]五十嵐汶水と達磨講 :当地の偉人、江戸末期~明治初期に活躍した医師、汶水について [3]安養寺参道保存地区 :五十嵐汶水が伝えた医学と安産信仰に纏わる遺構について [4]達磨講石造物群 :達磨講の石造物(玉石、祠、達磨像など)について ■Web [5]巨樹巨木林データベース:2000年度の調査記録 [6]みやぎ観光ナビ :蔵王町の観光情報を紹介するサイト、大杉の情報もあり [7]どきたんドットコム :蔵王町の歴史と文化財を紹介するサイト、大杉の情報もあり |
巨木と雑記.大杉の感想
宮城県の南部で巨木巡りをする際、特に訪れたかった巨木の一本が平沢弥陀の杉でした。 蔵王町にあるという立地も都合がよい。 火山湖の御釜で有名な山、蔵王山へ登った後でも立ち寄れる。 巨樹巨木林DB[5]の記録上では県内最大級の大杉。 栗原市の薬師堂の姥杉(幹周10m)に次ぎ、 南三陸町の太郎坊の杉(幹周8.5m)と並ぶ巨樹。 訪れる前の下調べで、幹に大きな損傷があるらしいことを知った為に、 さほど期待しないようにしていました。 しかし、実際に訪れてみれば、その立姿は予想以上に健全なもので驚きました。 目立つ損傷個所は、幹の南側の中腹に支幹らしき大枝の折損跡。東側の根元に表皮の大きな欠損など。 それでも主幹の健全な部位は多く、巨樹らしい大きな樹冠を保っています。 40m以上はありそうな、梢のある上層部も緑の笠を茂らせていました。 特に個性と威容を感じられる立姿は、大きな下枝が伸びた南側のもので、 大杉の「顔」もここに表れているように思えます。 ウラスギらしい特徴を示す、横に伸びてから立ち昇る複数の大枝。 それらは参拝者を歓迎するように包み込み、本尊を安置する厨子の扉のように、 御神木との対面をより感動的なものへと高めています。素晴らしい立姿の大杉でした。
巨木と雑記.達磨堂と五十嵐汶水
大杉に纏わる達磨堂と五十嵐汶水について。 達磨堂の立つこの場所は、平安末期に安養寺の阿弥陀堂が建てられた場所でした。 その参道に植樹された杉並木、往時は20本はあったという巨木の生残りが平沢弥陀の杉。 約900年という推定樹齢の根拠でしょう。 [1] 慶應3年(1867)、この地に五十嵐汶水が達磨堂を建立。 汶水は平沢出身の偉人で、江戸後期~明治初期にかけて活躍した産科医。 自身が修めた西洋医学を基に、庶民にも最新の医学知識や人命尊重などの教えを広く伝授。 その教えは、庶民が受け入れやすい土着の信仰や風習も取り入れたもので、達磨講と呼ばれました。 汶水の伝習所であった達磨堂は、後に安産の祈願所として信仰されるように。 境内に残る塚・石碑・石仏などが往事の信仰を物語っています。 [2][3] 別名・達磨杉。この大杉が現在も大切に守られているのは、汶水の功績に依るものが大きいでしょう。 安産の伝習所であり祈願所となった達磨堂。 大杉はその御神木として、人々の目には特別な存在と映ったはず。 汶水も大杉に格別な想いを持っていたようで、大杉を守る旨の遺言が、 戒石銘という石碑に刻まれています。 [1]
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