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    平沢弥陀の杉

    巨木の写真

    平沢弥陀の杉(2017.09.15) 【01】大きな下枝で参拝者を迎えてくれる大杉 平沢弥陀の杉01
    【02】南側 平沢弥陀の杉02
    【03】南側 平沢弥陀の杉03
    【04】西側 平沢弥陀の杉04
    【05】西側 平沢弥陀の杉05
    【06】南側 平沢弥陀の杉06
    【07】東側 平沢弥陀の杉07
    【08】東側 平沢弥陀の杉08
    【09】解説板 平沢弥陀の杉09
    境内と解説板(2017.09.15) 【01】達磨堂の本堂.近年に境内を大きく整備した様子.右奥の鳥居の先に達磨塚. 平沢弥陀の杉01
    【02】達磨塚 平沢弥陀の杉02
    【03】解説板 平沢弥陀の杉03
    【04】解説板 平沢弥陀の杉04
    【05】解説板   平沢弥陀の杉05

    巨木の詳細

    巨木の名前 平沢弥陀の杉 [1]
    樹種 スギ(杉)
    幹周 9.66m [1], 8.5m [5]
    樹高 50m [1][2]
    推定樹齢 850~900年 [1]
    特徴 横に伸びた大きな下枝
    保護指定 宮城県指定天然記念物
    所在地 宮城県刈田郡蔵王町平沢
    所在施設 達磨堂の境内地
    撮影日・状態 2017.09.15 : 幹の根元や中腹に損傷があるが全体的に樹勢は良い様子、主幹上部の葉も繁茂
    アクセス
    村田IC(東北道):約4.5km
    電車 白石駅(東北本線):約18km(平沢地区は駅に停車する路線バスの沿線外)
    参考情報 ■現地解説板
    [1]平沢弥陀の杉     :平安時代の植樹、五十嵐汶水に纏わる歴史なども記載
    [2]五十嵐汶水と達磨講  :当地の偉人、江戸末期~明治初期に活躍した医師、汶水について
    [3]安養寺参道保存地区  :五十嵐汶水が伝えた医学と安産信仰に纏わる遺構について
    [4]達磨講石造物群    :達磨講の石造物(玉石、祠、達磨像など)について
    ■Web
    [5]巨樹巨木林データベース:2000年度の調査記録
    [6]みやぎ観光ナビ    :蔵王町の観光情報を紹介するサイト、大杉の情報もあり
    [7]どきたんドットコム  :蔵王町の歴史と文化財を紹介するサイト、大杉の情報もあり

    巨木と雑記.大杉の感想

     宮城県の南部で巨木巡りをする際、特に訪れたかった巨木の一本が平沢弥陀の杉でした。 蔵王町にあるという立地も都合がよい。 火山湖の御釜で有名な山、蔵王山へ登った後でも立ち寄れる。 巨樹巨木林DB[5]の記録上では県内最大級の大杉。 栗原市の薬師堂の姥杉(幹周10m)に次ぎ、 南三陸町の太郎坊の杉(幹周8.5m)と並ぶ巨樹。

     訪れる前の下調べで、幹に大きな損傷があるらしいことを知った為に、 さほど期待しないようにしていました。 しかし、実際に訪れてみれば、その立姿は予想以上に健全なもので驚きました。 目立つ損傷個所は、幹の南側の中腹に支幹らしき大枝の折損跡。東側の根元に表皮の大きな欠損など。 それでも主幹の健全な部位は多く、巨樹らしい大きな樹冠を保っています。 40m以上はありそうな、梢のある上層部も緑の笠を茂らせていました。

     特に個性と威容を感じられる立姿は、大きな下枝が伸びた南側のもので、 大杉の「顔」もここに表れているように思えます。 ウラスギらしい特徴を示す、横に伸びてから立ち昇る複数の大枝。 それらは参拝者を歓迎するように包み込み、本尊を安置する厨子の扉のように、 御神木との対面をより感動的なものへと高めています。素晴らしい立姿の大杉でした。

    巨木と雑記.達磨堂と五十嵐汶水

     大杉に纏わる達磨堂と五十嵐汶水について。 達磨堂の立つこの場所は、平安末期に安養寺の阿弥陀堂が建てられた場所でした。 その参道に植樹された杉並木、往時は20本はあったという巨木の生残りが平沢弥陀の杉。 約900年という推定樹齢の根拠でしょう。 [1]

     慶應3年(1867)、この地に五十嵐汶水が達磨堂を建立。 汶水は平沢出身の偉人で、江戸後期~明治初期にかけて活躍した産科医。 自身が修めた西洋医学を基に、庶民にも最新の医学知識や人命尊重などの教えを広く伝授。 その教えは、庶民が受け入れやすい土着の信仰や風習も取り入れたもので、達磨講と呼ばれました。 汶水の伝習所であった達磨堂は、後に安産の祈願所として信仰されるように。 境内に残る塚・石碑・石仏などが往事の信仰を物語っています。 [2][3]

     別名・達磨杉。この大杉が現在も大切に守られているのは、汶水の功績に依るものが大きいでしょう。 安産の伝習所であり祈願所となった達磨堂。 大杉はその御神木として、人々の目には特別な存在と映ったはず。 汶水も大杉に格別な想いを持っていたようで、大杉を守る旨の遺言が、 戒石銘という石碑に刻まれています。 [1]