旅日記TOP / 深谷市のホフマン輪窯と専用鉄道跡 / 機関車
深谷市のホフマン輪窯と専用鉄道跡 ~機関車~
蒸気機関車・国鉄5500形
日本煉瓦製造の専用鉄道で走っていた機関車は、どのようなものであったか。 それを現地解説板の写真を元に探ることができました。 以下は深谷駅北口、駐車場に面した引込線跡にある解説板。 蒸気機関車の写真が大きく写っています。 これは国鉄5500形 [3] で間違いないでしょう。 イギリスのベイヤー・ピーコック社が、明治26-31年 (1893-98) にかけて製造。 多数が輸入され、明治期を代表する蒸気機関車であったそうです。 東武鉄道の博物館 (東京都墨田区) には、良好な保存状態のものが展示。 公式サイト [2] からでもその姿が見れます。
以下の蒸気機関車は、埼玉県の宮代町役場に保存されている国鉄5650形 [4] 。イギリスのシャープ・スチュアート社が明治31年 (1898) に製造。 5500形の同形機なので良く似ています。 目立つ違いとしては、蒸気ドームの後ろに付いた砂箱。 ボイラーの両サイドに追加した、空気ブレーキ用の空気圧縮機とタンク。 この車輛は東武鉄道が40号蒸気機関車として、昭和41年 (1966) まで使用していました。
右側面、保存状態は良い
正面、ヘッドライトは無くなっている
左側面、ボイラーの両サイドには、空気ブレーキ用のタンクと圧縮機がある
左側面、ボイラー上に前から、蒸気ドーム、砂箱、発電機、圧力弁
左側面、水と石炭を積んだテンダー車
テンダー車、背面
運転台の中も見学できる
解説板
【 地図 】
蒸気機関車・国鉄8620形
日本煉瓦製造の専用鉄道では、国鉄5500形の他にも蒸気機関車が使われていた。 以下は、備前渠鉄橋の手前にある解説板。 写真の備前渠鉄橋を渡る蒸気機関車は、明らかに5500形とは違います。 調べてみた結果、確証はありませんが、国鉄8620形 [4] が近いと考えます。 全体のシルエット、煙突・蒸気ドーム・砂箱の形がよく似ている。 しかし、写真の撮影年は明治40年 (1907) 頃とある。 8620形が国内で製造されたのは、大正3年 (1914) からなので年代が合わない。 失礼ながら、実際の撮影年は大正に入ってからの可能性あり? いずれにしても、5500形以外の蒸気機関車も使われていたのです。
以下はご参考までに、国鉄8620形が関東地方で静態保存されている場所。 空気ブレーキを導入した後なので、歩み板の後半が高くなっていること、 除煙板があることなどを除けば、解説板の写真に似ていると思いませんか。
【 地図 】
ディーゼル機関車
日本煉瓦製造の専用鉄道は、やがて蒸気機関車からディーゼル機関車へ替わります。 深谷市ホームページからダウンロードできる (2024年11月時点) 資料には、 昭和30~40年代 (1955-74)に使われたディーゼル機関車が紹介されています。 車輛は想像よりもずっと小さい。 全長は5mくらいでしょうか。 工事用の車輛として、土砂・鉱石・木材などを積んだトロッコを牽引する印象です。
日本煉瓦製造の専用鉄道で使われたディーゼル機関車。 それと似たもの埼玉県内に一輛みつけました。 場所は国土交通省の利根川上流河川事務所。 加藤製作所のD7形。 昭和24年 (1949) に建設省 (国土交通省の前身) が購入。 利根川と渡良瀬川の築堤のため、土砂の運搬に使われたそうです。 このD7形。大まかな外観や構造が近いようにみえます。
正面
左側面
背面とトロッコ (積土運搬車)
解説板に詳しい仕様が記述されている
【 地図 】
ディーゼル機関車について、まだ少し続きます。 先述の加藤製作所D7形は、適応した左右のレールの間隔、軌間が610mm。 日本煉瓦製造の専用鉄道の軌間は、高崎線など在来線と同じ1067mm。 なので専用鉄道の機関車は、D7形より大きな車輛であったはずです。 加藤製作所の軌間1067mmに対応した機関車を調べてみると、 静岡県の大井鉄道が購入したDB1形 [5] を見つけました。一回り大きい。 専用鉄道の機関車も、DB1形くらいの大きさだったのでしょう。 外観も近いものがある。以上です。
関連情報
[1] 深谷市ホームページ :日本煉瓦製造の旧煉瓦製造施設のパンフレットをダウンロード可 (PDF)
[2] 東武鉄道博物館 :国鉄5500形 (東武鉄道5号) が良好な保存状態で展示されている
[3] ウィキペディア :国鉄5500形について、後継の5650形の説明もある
[4] ウィキペディア :国鉄8620形について、各地の保存機の説明もある
[5] ウィキペディア :大井川鐡道DB1形について
[6] 岩舟石運搬線 :栃木県栃木市、岩船山から渡良瀬遊水地へ繋いだ鉄道の痕跡を巡る!
[7] 上敷免諏訪神社のケヤキ:深谷市、この専用鉄道の沿線にある神社
旅日記TOP | △TOP | 前へ戻る |