旅日記TOP / 「風弦」~南アルプスを背景に大武川にそびえる巨大オブジェ
「風弦」~南アルプスを背景に大武川にそびえる巨大オブジェ(2019.04.01)
(写真:風弦の足元より)
大武川砂防公園にある風弦
南アルプスの北部に連なる甲斐駒山脈。 その主峰である甲斐駒ヶ岳(2967m)と鳳凰三山から生まれる大河が大武川。 上流域には支流である石空川との合流点があり、そこにそびえ立つオブジェが風弦です。 堤防上は大武川砂防公園として整備。 立入って間近に風弦を見学することができます。 風弦は高さ30メートルもある巨大な鉄のオブジェ。 特徴は四角錐状の構造、北側への傾き、張られた数本のワイヤー、吊られた岩のような鉄塊など。 初見での印象は強烈、脳が揺れました。 神々しい大山脈を背に、2つの大河の合流点にそびえ立つ風弦は、じつに決まっている立姿。
風弦が伝えるものとは?
風弦とは何なのか。作品テーマなど考える前に、まずは制作者について。 愛称「KUMAさん」こと、著名な芸術家である篠原勝之氏。 篠原氏は鉄・ガラス・石などを素材に、数多くのダイナミックな作品を生み出しています。 TV出演もよくされていたので、お顔を知っている方も多いはず。 風弦の制作年は1994年6月。 篠原氏の作品群の中でも、最も背の高いものでしょう。
さて、風弦とはいったい何なのか。 風の音を奏でる楽器をモチーフとした、このパワースポットのシンボルである御柱。 そんな印象を持ちました。 ギターに例えれば、鉄柱がネックとヘッドの部分に見えませんか。 ボディは大地、弾き手は神様かな。 眼前にそびえるのは、甲斐駒ヶ岳と鳳凰三山が屏風のように連なる山嶺。 そこから生ずる大武川と石空川が交わる当地は、 大地のエネルギーが集まった偉大な景観の場所です。 神宿る山嶺の息吹は、大武川の上を吹きわたり、この御柱に触れて詩を奏でる…。 吊られた岩のような鉄塊の意味。何でしょう。 これの有無で大きく印象が変わります。 大武川から流れてきた岩? 大地の力?。 下からワイヤーで固定されていますが、その仕方が少し雑。 当初は風でブラブラ揺らす予定だったとか? その方が面白い。
風弦を見つけたきっかけ~関のサクラと駒城橋
風弦を見つけたのは偶然でした。 山高神代桜のある実相寺から、関のサクラ(詳細は後述)へ向かう道中。 通過点であった駒城橋で、思わず車を降りたことがきっかけ。 車は手前に停めて、歩いて橋の中央へ。 こうして素晴らしい山岳風景の中に、溶け込んでいる風弦に気付いたのです。 素通りせず、正体を確かめにいって本当に良かったと思っています。
関のサクラについて。 実相寺から西へ道なりに約6㎞。 白洲町横手にあるエドヒガンの巨木です。 個人の所有ですが、道路沿いに立つため見学可能。 現地解説板では幹周5.79m、樹高15.0m。 周辺では神代桜に次ぐ大桜でしょう。 名前の由来は、傍らに関所があり、信州へ続く古道が通っていたという伝承によるもの。 満開となる例年の見頃は4月中旬。 当日は蕾でした(2019年4月1日)。
おわりに
最後に大武川砂防公園と風弦の基本情報および周辺地図です。 春に実相寺へ山高神代桜の観桜に訪れる人、時間に余裕があれば、 風弦と関のサクラを巡ってみてください。お勧めですよ。 なお、大武川砂防公園は少し荒れた状態でした(2019年4月時点)。 風弦の手前まで石空川沿いに続く歩道は、藪のようになっていて、 風弦の周囲にはアカマツらしき若木が繁茂。 北の大武川沿いがそこそこ歩きやすい状態でした。 素晴らしい景観の場所なのに残念。
■所在地 :山梨県北杜市武川町柳澤 (大武川と石空川の合流点の堤体上) ■問合せ先:不明 (北杜市ホームページ内を参考に) ■駐車場 :無し、入口付近に路肩駐車 (橋の上やカーブ付近を避ける) ■アクセス:車、中央道・須玉ICから約10㎞ 鉄道、JR中央線・日野春駅から約8㎞ ■補足 :工事等で立入禁止となる可能性あり 増水時や雨天時の立入は危険、風弦の近くは落雷の危険性も高い
■制作者 :篠原 勝之 ■制作年 :平成6 (1994) 年6月 ■大きさ :1.0m × 1.0m × 30.0m ( 底辺1.0mの四角錐の構造 ) ■制作協力:早川工業株式会社 ■寄贈 :財団法人・砂防フロンティア整備推進機構 ■協賛 :財団法人・日本宝くじ協会
■ 山高神代桜 :北杜市武川町山高、実相寺の境内、日本三大桜の一本
■ 清泰寺のカヤ:北杜市白州町花水、県内有数の立派なカヤ
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