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大河の合流点へ ~利根川と渡良瀬川~ (2015/10)
両側に関東地方を代表する大河が流れ合わさる様を見てみたい。 周辺の河川敷の大規模な改良の工事や、季節や荒天による水位の上昇などで 近寄ることができませんでしたが、 10月末日、遂にその先端付近まで歩を進めることが出来たのでした! なお、今回立入った地域は立入れない場合(増水、工事、行政の都合)があります。
(写真:合流点の先端の手前)
1.はじめに
埼玉県加須市の旧・北川辺町の本郷。ここは、渡良瀬川が利根川へ合流する地点と接しています。
堤防上からでも、遠くに2つの大河の合流点を望むことができます。
前回に訪れた2015年5月の時は、本郷に広がる田園や、堤防の上から東武日光線の車両を眺めていました
(参照・田園と電車)。
しかし、現地へ向う下調べで見た地図、そして堤防上から見た実景により、2つの大河の先端部分を
間近に見てみたいという欲求が高まっていくのでした。
そして、約5ヵ月後、周辺の河川敷の改良工事の一段落を待ち、
2015年9月の台風18号による関東・東北豪雨の一過と安全の確認を待ち、
遂に合流点に接近することが出来たのでした。
尚、今回は合流点の最先端へは近づいていません。足場が細くて漂着物や凹凸が多く不安定で、
真横を流れる利根と渡良瀬の流れは速くて強いです。
もしも、落ちて流されてしまっては助からない場合もあるでしょう。
足元が崩れる恐れのある場所、水面に落下する、泥濘にはまるような場所へは決して近づいてはなりません。
2.合流点へ!!
ここから堤防上から合流点の最先端の手前までの写真を順に紹介していきます。
堤防上から河川敷に下りて、先端へと続く工事車両が出入りしていた通路(踏み跡)へ入っていきます。
先端の手前までの地面は、工事車両で整地された後で起伏が少なく、歩行に問題はありませんでした。
しかし、鋭利な漂着物や石が落ちているので、頑丈な靴でないと危険でしょう。
合流点手前の三角地帯はとても広く、広大な砂浜(増水後に土盛りの上に砂が乗った?)
の水辺なので海を連想してしまいました。
合流点の最先端は、コンクリートの杭や石で盛られた土盛りの細長い列で、土砂が堆積し雑木が生えています。
堆積物と雑木で足場が不安定かつ不明瞭で、更にすぐ足元の利根&渡良瀬の流れは速くかつ強いので、落水したら一大事です。
救命胴衣など無しに単独で訪れた人が流されたら助からない場合も…!
私は三角地帯から細長くなっている基部付近に近づいたのみで、それ以上は接近せず引き返しました。
元々、最先端には近寄れないと思っていたので、これで大満足です。
暫く進んだ.広い.重機の轍が続く.最近まで河川敷の改良工事が行われた
利根川の方向.大雨(2015/09/10)でこの一帯は水没している
利根川の岸に.大雨から一カ月以上.穏かに見えるが流れは速い
利根川寄りの小さな湾のような場所.石が散乱.川底の様子
奥に東武日光線の橋梁.9/10の水位は右の雑木の中腹以上に達した
砂州の小さな湾から.奥にJR東北本線の橋梁
木の桟橋の残骸.周囲に釣人の痕跡が見られた
合流点の先端となる中央の茂み.先端の手前まで重機で整地されていた
ここで一旦、左の渡良瀬川に寄ってみる.広い砂浜の砂州に少し海に来た感じ
奥が渡良瀬川の上流.利根川に劣らず合流点は広大.流れも速い
渡良瀬川寄りから先端へ近づいていく
利根川寄りに散乱する石の列.中州の堤体を成す構造材なのだろう
先端手前から振り返る.一帯は堅固にコンクリ等で補強されず土盛り
先端付近は、石の詰まった土盛りをコンクリの杭で囲っている様子
左の渡良瀬が右の利根と合流.危険なのでこれ以上は接近しない.落ちたら大変
上越の谷川や尾瀬の山塊から、足尾と日光南部の山塊から、この大河へ至る
終わりに
こうして無事に利根川と渡良瀬川の合流点を間近に眺めることができました。
堤防の上や橋梁の上からでは感じることのできない迫力があり、
氾濫や洪水を起こす暴力的な水流への恐怖を肌身に感じました。
川とは力の体現そのものじゃないか…と。そして大きな自然の力に対する畏怖へ。
利根川と渡良瀬川、2つの大河の水源地帯へは登山で訪れたことがあります。
利根川は、群馬県の北部の水上。新潟県と接する上越の谷川岳を有する山塊。
そして同じく北部の尾瀬ヶ原を有する山塊。
渡良瀬川は、日光足尾山塊の皇海山(すかいさん)を端に渡良瀬渓谷を流れ関東平野へ。
あの果てしなく雄大で畏怖を感じた深山と原生林が水源となり、その滴が、
いくつもの支流と交わりながら、いくつもの集落、田畑、町の中を流れ、
今、目の前の2つの大河に。
9月中旬の連休中、茨城県常総市へ一般公募の災害ボランティアとして一日だけ
民家の泥やガレキの除去のお手伝いをさせて頂きました。
茨城県内で、9/10の台風18号による関東・東北豪雨の被害が特に大きかった地域です。
鬼怒川の堤防の決壊や越水による洪水が発生し、多くの住民の方が被災しました。
私がお手伝いさせて頂いた地域は、堤防から越水(決壊ではない)が起きた地域で、
越水した地点から400mほど先にある場所でした。
床上1m以上の浸水があったそうです(茨城県常総市若宮戸)。
そこで見た風景は、
浸水で破損や腐食した家具のガレキの山、泥に覆われた田畑と道路と民家の敷地、
大急ぎで床下と床板を作り直す家々、
水没して廃車同然になった乗用車や農機、といった悲惨なものでした
(おおよその上下水道や幹線道路は復旧)。
その時、私にできることは、ボランティア本部の指示に従い、
ガレキを掴み、スコップで泥をすくう単純な事だけでした。
自宅に戻れず避難先で暮らす方も居るという住民の方々の苦労と心痛を考えると
胸が詰まりました。
洪水の力の恐ろしさと、水が引いた後も長く続く被災そして復旧の難しさ。
河川の堤体の十分な強度の維持と、周辺の都市開発との両立の難しさ。
2015年は9月から10月にかけて、渡良瀬川、利根川、鬼怒川の流域へ訪れ、
臨場を持って水害の脅威について少なからず学ぶことが出来たと思います。
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